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麗惺が、目を覚ましたのは見たことも無いような豪華な部屋のソファだった。
天井には見るからに高そうなシャンデリア。
床にはふかふかのカーペットが敷き詰められており、部屋の中央には大理石のテーブルが品よく置かれている。
「…(どうなってるんだ…いきなり拉致されたかと思えば…今度は美形の二人組み…)」
麗惺は、ニコニコと笑いながら自分の向かい側に座る二人の美形を見つめて小さくため息を吐いた。
軽く10分はこの状態が続いているのだ、ため息もつきたくなる。
「麗くん麗くん♪」
美形な二人のうちの一人が麗惺に声を掛ける。
「…何でしょうか?」
麗惺は、あまりに上機嫌な男性の様子に思わず返事を返す。
それでも焦ったり取り乱す様子が無いのは流石と言えるだろう。
「オレ、如月颯史!」
男性は、にっこりと微笑んで自分を指差しながらそう自己紹介をする。
「…(随分といきなり…ん?如月ってことは…)」
麗惺は、颯史の言葉に思わず目を瞬かせる。
そして、颯史の言葉にあることに思い至る。
「麗くん。オレはね?如月和茨だよ♪」
もう一人の男性が、そんな麗惺の様子を見て楽しそうに自己紹介をしてくる。
こちらも颯史と同じで至極上機嫌である。
「…初めまして…颯史さん、和茨さん…如月雅司が長子…水無月麗惺です…」
麗惺は、和茨たちに臆することも無く真っ直ぐに二人を見据えてそう言うと優雅に一礼した。
その態度に思わず二人も驚きで硬直する。
二人は、麗惺が自分たちの自己紹介に驚き慌てるのを楽しみにしていたからだ。
「クックック…やっぱり、麗惺は凄いなぁ~…こいつら相手に少しも臆さ無いなんて…さすが俺の子♪」
硬直する和茨たちを他所に部屋の中に楽しそうな声が響いた。
それは、今しがた部屋に入ってきた如月雅司その人だった。
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