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「…お久しぶりです。雅司さん」
麗惺は、いきなり拉致されたことへの意趣返しとして雅司に一番効果があるであろうことを笑顔で言い放った。
その瞬間、雅司が音を立てて硬直した。
今の雅司は、まさに天国から地獄に突き落とされたような変わりっぷりである。
「や、やっぱり怒ってる!!!ヤダヤダ!!怒っちゃヤダよ!麗惺!!パパって呼んでよ~!!!!」
雅司は、あまりのショックに先ほどまでのきりりとした雰囲気はどこへ消えてしまったのかぎゃーぎゃーと喚きながら麗惺に詰め寄る。
「…プッ…アハハハ!!サイコー!!!」
そんな雅司の様子を見て硬直していた颯史が勢い良く笑い出す。
「クスクス…本当だね…兄さんをこうも簡単にあしらうなんて…さすがオレの愛しの甥っ子♪」
和茨も雅司の取り乱しっぷりに目に涙を溜めてお腹を抱えている。
「…和茨さんと颯史さんは俺に何か御用ですか?」
麗惺は、二人の言葉や泣き喚いている雅司は気にも留めずに本題を切り出す。
「!…クス…まぁ、そう警戒しないで?オレたちは麗くんに一目会いたかっただけだから」
「そうそう♪」
「…ですが…お二人は父のご兄弟で…つまりは、俺の叔父さんなんですよね?」
「うん」
「そうだよ♪」
「…一つお尋ねしますが…お二人にお子さんはいらっしゃらないんですか?」
麗惺は、真剣な瞳で二人を見つめてそう尋ねる。
その真っ直ぐな問いかけに和茨と颯史は互いに目を合わせて苦笑を漏らす。
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