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「!…(一応…って…)」
麗惺が、和茨に訝しげな視線を向けていると和茨は満面の笑みでそれに答えた。
麗惺の背中に冷たい何かが走る。
「…(深くは聞かないで置こう…)」
麗惺は、そう思いながら心の中で一つの誓いを立てた。
和茨には逆らってはいけない。
「麗惺。こいつらには余り近づかないこと…いいね?」
雅司が、徐に麗惺にそう言った。
その瞳はひどく真剣な物だった。
「……なぜですか?」
麗惺は、そんな雅司の瞳を真っ直ぐ見つめてそう切り返した。
「なぜって…それはこいつらが…」
「ご自分の兄弟さえ信じることが出来なくて何億もの部下を信頼させることが出来るとは思いませんが?」
麗惺は、真っ直ぐ雅司を見つめて淡々とそう言い放つ。
その凛とした姿に三人は息を呑む。
「…麗くんカッコイイ~…」
颯史が、まるで熱に浮かされたかのようにそう呟く。
「本当にね…兄さんより話もわかるし…何より考えが男前だよね」
和茨も感心したように口々にそう褒める。
「…俺は、自分の考えを述べているだけです…」
「でも、そういう考えは大切だと思うよ?少なくとも今の一言でオレたちは麗くんを次期総帥に推すことを決めちゃったし…」
和茨は、満面の笑みを称えながらそう言ってあっけらかんと本日二つ目の爆弾を投下した。
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