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「え?……で、ですが…俺のような者が如月の次期総帥だなんて…」
「やっぱり、いきなり過ぎだよ。雅兄、和兄…」
颯史は、表情を曇らせた麗惺を見て心配そうにそう声を上げた。
「…う~ん…そう言ってもなぁ…親父が、次期総帥を決めろとうるさいし…」
「…麗くんは、兄さんを恨まないんだね?」
「え?」
「…10年もほったらかしにされていきなり“如月の跡取りになれ”って理不尽な要求をされてるのに…麗君は一度も兄さんを非難しない…」
「それは…父にも父の理由があり…そして、少なくとも俺のことを考えて行動してくれているわけですから…非難なんて出来ませんし…するつもりもありません」
麗惺は、優しく微笑みながらそう答える。
その言葉に和茨は、複雑そうに息を吐いた。
「(この子は優しすぎる…けれどそれ以上に王らしい…資質は十分すぎるほどか…親父が、ごねるのも頷けるかな…)もう…麗君ってば…」
「?和茨さん??」
麗惺は、和茨の言葉に首を傾げながら和茨に視線を向ける。
「っ…もう!可愛すぎ!!!」
和茨は、麗惺のその仕草にノックアウトされ勢い良く麗惺に抱きついた。
「え!?か、和茨さん!?(ち、近い!!)」
麗惺は、行き成りのことに驚き声を上げることしか出来ない。
そんな麗惺に抱きついたまま和茨は楽しそうに微笑んでいる。
「(か、顔が近いって!!う、動いたら唇当たりそう…)」
麗惺は、冷や汗を流しながら超至近距離にある和茨の顔を見つめることしか出来なかった。
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