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「…容姿ですか?…そこそこ見た目がいい…ぐらいですか??」
「“そこそこ”ねぇ…(まぁ、無自覚よりはマシかな…)」
麗惺の返答に困ったように苦笑を浮かべて和茨はそう呟いた。
「たまに街で声を掛けられますから…」
「たとえばどんな?」
「えっと…“お茶を一緒に…”とか“遊びに行かないか?”とか…ですかね…ああ、あと“モデルやりませんか?”なんてものもありましたけど」
麗惺は、そう言ってつらつらと答えていく。
その返答に和茨の眉が僅かにひくつかせた。
「…やっぱり…(それだけ声を掛けられて“そこそこ”なんだね…麗くんの中では…)」
「??」
「とにかく…麗くんを“如月”だと知らしめるためにも今夜の夜会は絶対に必要なことなんだ…」
「!…そうですね…今までのようには行きませんよね」
麗惺は、そう言ってどこか寂しげに呟いた。
「…麗惺くんに不必要に傷ついてほしくないんだよ…」
「はい…ありがとうございます…」
麗惺は、そう言ってどこかはにかんだ笑みを浮かべた。
「うん……で、その口調は何なのかな??」
和茨は、満面の笑みで麗惺に尋ねる。
心なしか笑顔の下から何がどす黒い何かを感じずにはいられない。
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