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「!っ…///(泣いてしまいそうだ…でも…この方にそんな無様な姿を見せたくない…晒したくない…)」
雪也は、麗惺の言葉に唇を噛み締めて顔を俯かせる。
目に堪った涙が零れないように強く目を瞑り、手を握りこむ。
「…山田君…」
麗惺は、そんな雪也の姿に哀しげな表情を浮かべてソファから立ち上がると雪也の前まで歩みを進める。
そして、我慢に震えるその体を壊れ物を扱うかのように優しく優しく抱きしめた。
「!っ!?き、如月さま!?」
雪也は行き成りのことに驚きの声を上げる。
しかし、抵抗しないのは麗惺が他の奴らと違うと言うことがわかったから…。
「泣きたいときは泣くのが一番良いんです…一人で溜め込まなくていいんです…こうすれば顔なんて見えないんですから…」
麗惺は、ひどく優しい声でそう言って雪也の髪を優しく梳く。
「!…っ…う…えっ…うっ…くっ…」
雪也は、その優しい言葉と手の暖かさに溜め込んでいたものが決壊し麗惺に抱きついて涙を零す。
しばらくの間、雪也は今までの心の傷を癒すかのように麗惺に縋り付いて涙した。
麗惺もそんな雪也を労わるように優しく髪を撫で続けた。
十分ほど経って雪也は何とか落ち着きを取り戻した。
そして、抱きついたまま今の己の状況を理解して硬直する。
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