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「あの、始めまして…右帥 麻呼(ウスイ マコ)といいます。ここに古葉 鏡士郎さんと獅莱(シライ) 鷹雄さんがいらっしゃるとお伺いして、その…入院中にお世話になったのでお礼にと思って来たんですけど、お2人はいらっしゃいますか?」
麻呼は、見知らぬ青年が出てきた事で動転してしまい勢い良く青年にそう尋ねる。
「あー、君があの未砂さんのお孫さんの右帥 麻呼さんだね!ちょっと今、2人ともいないけどすぐに帰って来るから中で待ってなよ!」
青年は、麻呼の名前を聞くととても嬉しそうにそう言って半ば強引に麻呼を事務所の中に招き入れる。
「あの、いらっしゃらないのならまた改めて来ますから!」
麻呼は、狐につままれたような顔で青年を見ながらそう言った。
「いいんだよ遠慮しなくて。そこの君も入っておいで今お茶を入れるから」
青年は、ニッコリと笑ってドアのところに向かってそう言った。
そこには、明が静かに座っていた。
≪…それじゃあ、遠慮なく。俺はホットミルクを…≫
明は、事務所に入って来ながら青年にニッコリと笑いかけてそう言った。
どこか楽しそうなのは気のせいだろうか…。
「わかった。さあ、麻呼さんはここに座ってゆっくりしてていいよ。すぐにお茶持ってくるから、コーヒー?それとも紅茶?」
青年は、麻呼をふかふかのソファーに座らせて満面の笑みでそう尋ねる。
「コーヒーでお願いします…」
麻呼は、青年を見上げて無意識にそう答えてしまった。
「OK!すぐに持ってくるからねー。君もゆっくりしてていいよ」
青年は、嬉しそうに麻呼と明にそう言って台所らしきところに姿を消す。
「いいのかな?」
麻呼は、青年の姿が見えなくなると軽い溜め息交じりに明に尋ねる。
≪また、足を運ぶなんて俺は嫌だからな…ここで待ってようぜ。それに、俺はあいつらよりこっちのガキの方が面白そうで好きだ…≫
明は、楽しそうに笑ってそう言った。
「…なんか悪いこと考えてない?」
麻呼は、何事か企んでいそうな明の顔を見て心配になってそう尋ねる。
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