感謝は新たな出会い

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「いいんだよ、新宿に向かってるんだから…」 麻呼は、明にニッコリと笑ってそう言うとほんの少し歩くスピードを上げた。 ≪?新宿に用ってなんか買うのか?≫ 明は、心底不思議そうに眉根を寄せて再び麻呼にそう尋ねる。 「そうだなー。一応、お菓子でも買っていこうかと思ってるけど…」 麻呼は、豪勢なケーキショップの窓を覗き込みながらそう言った。 ≪誰かに会うのか?涼子か?≫ 明は、再び不思議そうな顔で麻呼にそう尋ねる。 涼子は、麻呼の高校の友人で、唯一麻呼の親友と呼べる人物だ。 「涼子に会うのは、明日。今から行くところは古葉(コバ)さんと獅莱(シライ)さんの仕事場…入院中いろいろとお見舞いとか貰ったからせめてお礼にと思って…」 麻呼は、苦笑いを浮かべて気まずそうにそう言った。 古葉と獅莱というのは、3週間と2日前に知り合った霊能力者、古葉 鏡士郎(キョウシロウ)と獅莱 鷹雄(タカオ)の事で、3週間前の出来事で負傷した麻呼を病院まで運んでくれ。 入院してからも、東京に帰るまでの8日間、ほとんど毎日のようにお見舞いに来てくれたのだ。 ≪…俺は、あいつらの事まだ信用できない…それにしても、いつの間にあいつ等の仕事先なんて聞いたんだ? ≫ 明は、苦虫を噛み潰したような顔で麻呼を見上げてそう尋ねてくる。
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