感謝は新たな出会い

5/8
前へ
/30ページ
次へ
「古葉さんが東京に帰る前日に、“退院したら遊びにおいで”って名刺をくれたの…なんでも、普通には解決できないような非科学的な事件とかを引き受けて霊能力で解決してるみたい…ホラ、最近じゃ、昔以上に非科学的な事件も増えてきてるし、たまに政府からじきじきに依頼されることもあるらしいよ」 麻呼は、何とか不満気な視線を向けてくる明を説得しようと試みるもののどんどん逆効果になっているようにも感じられた。 ≪…なんだか、下心のありそうな誘いだな…そんな奴らに土産なんて持って行く事無いぞ≫ 明は、不機嫌そうな顔で不満気にそう言った。 「そう言う訳にも行かないよ。何せ、病院には運んでもらったし、入院中は来るたびにお見舞い貰ったし…せめて、挨拶に行くときぐらいお土産持って行かないといくらなんでも失礼でしょう?」 麻呼は、苦笑いを堪えるようにそう言って明に視線を向けてそう尋ねる。 その5分後、麻呼は近くのケーキショップでケーキを買って鏡士郎たちが働いているという建物までやって来た。 ≪麻呼、今からでも遅くは無い。そのケーキ持ったまま涼子の所に行こうぜ…俺、すごくやな予感がする…な?悪いこと言わないからこのまま帰っちまおうぜ…≫ 明は、とてつもなく不機嫌そうな顔でそう言って麻呼を見上げる。 「…ここまで来ちゃったんだし、今更帰ろうなんて言わないでよ」 麻呼は、軽い溜め息交じりにそう言って薄い微笑を浮かべながら明を見下ろす。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加