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≪…でもなー、すんごく嫌な予感がするんだよなー≫
明は、鏡士郎たちが働いているというビルの最上階を見上げてふてくされ気味にそう言った。
「ホラ、いつまでもぼやいてないで行くよ!」
麻呼は、明の背中を軽く叩いてお土産片手に8階建てのビルへと入って行く。
そして、早くもエレベーターを見つけてそれに乗り込んで最上階のボタンを押した。
≪あー、気が重い。あいつらに会いに行くのかと思うだけで嫌になる≫
明は、どんどん上昇するエレベーターの中できちんとお座りの体勢で座って声低くそう言った。
本当に嫌そうだ。
「何でそんなに、嫌なの?別にこれから毎日顔を合わせるわけじゃないんだし、ちょっと挨拶に行くだけよ?」
麻呼は、エレベーターの壁に寄りかかって不思議そうにそう言った。
≪…そうなればいいんだがな…(あいつら絶対に何か企んでやがる。面倒な事にならなければいいんだが…)≫
明は、不機嫌顔で一言そう呟いて大きな溜め息をついた。
そして、最上階鏡士郎たちの働いているフロアに到着した。
鏡士郎たちが働いているところは、普通では解決できない非科学的な依頼を請けて霊能力で解決するというなんとも妖しげな探偵事務所であった。
「あった!この探偵事務所よ…古葉さん達いらっしゃるといいけど…」
麻呼は、不安そうにそう言って探偵事務所のドアをノックする。
『はーい』という声と共にドアが開いた。
そこに立っていたのは、鏡士郎でも鷹雄(タカオ)でも無く見たことの無いのほほんとした青年だった。
目は、人の良さそうに少し垂れ気味で髪は、ボウボウに伸び放題でだらしなく後ろで一つに結んでいた。
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