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黒猫はついに親友の故郷に辿り着いた。
親友の恋人の家まであと数キロだ。
黒猫の体には無数の傷がつき、足の裏はすりきれ歩く事さえ困難に見える。しかし、黒猫は走った。途中、おのれの体重すら支えられず幾度となく転んだ。それでも立ち上がり、走り続けた。
黒猫がどんなに弱っていようとばせいと暴力がやむことはない。転んで立ち上がろうとする所に飛んでくる暴力。意識が途切れそうな時に飛んでくるばせい。
(負けるか!俺はホーリーナイト……)
黒猫は、かけがえのない人が付けてくれた名前を、何度も頭の中で繰返し力にかえた。千切れそうな手足を引きずり、それでも前に進むことを辞めない。
そして、黒猫はとうとう親友の恋人の家へ辿り着いた。
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