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雨が振り、暗闇が辺りを被う。そこは路地裏、路地裏に野良犬が一匹。
濡れた野良犬は懐からタバコを取り出し、100円ライターで火を点けようとする。
「しけってやがる…」
だが、雨のせいでタバコに火は点かない。
ーーープッ!
加えたタバコを吐き出し、濡れたタバコは纏めて投げ捨てる。
「ポイ捨て…」
「あぁ?」
奇異
先程まで誰も居なかった筈の場所に裸足の少女が一人。
だが野良犬にとってはドブ鼠が一匹増えた程度の認識。
此処では別に不思議では無い現象、いや現状だ。
「………」
気にしなくて良い物をわざわざ気にする筈も無く、無言で進んでいく。
追跡
ーーーヒタッヒタッ。
ドブ鼠は野良犬の後を着いていく。ただ黙々と着いていく。
ーーーパシャッパシャッ
ーーーヒタッヒタッ
靴の音と裸足の音。野良犬は水溜まりを歩き、ドブ鼠は濡れて居ない場所を歩く。
停止
野良犬が止まる事により、ドブ鼠は止まる。
「俺に着いて来ても意味は無いぞ…」
「………」
無音、無回答。行動は、ただ野良犬の目を見つめるだけ。
「チッ……」
舌打ちを一つし、ポケットから財布を取り出し、その中に有るお札を取り出す。
「おら、コレでどっか行け…」
野良犬は少女に差し出した。金、三万園。勿論、それ以上財布の中には金は入っている。
少女の認識を目障りと改めた結果、導き出された行動。
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