1人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーーフルフル
鼠は首を振る。野良犬は眉間にシワを寄せる。
野良犬は考える。追い払うか、噛み付くか…
だが鼠の言葉で野良犬の考えは揺らぐ。
「貴方と一緒に居たい…」
理解不能
今まで野良犬に懐く生き物は居なかった。
「………」
初めての出来事。だが野良犬は鼠の存在を無視する事にした。
何故だか解らないが、もし家まで着いてきた場合は飼ってやるかと考える選択が有った。
夜の雨の中を野良犬と鼠は歩く。
雨に打たれ、肌寒くても歩く。
見えて来たのは犬小屋。正確にはボロアパート。築80年は経っていそうな木造建築物。
錆びて奇怪な音を立てる階段を上り、自分の住家の扉を開ける。
古ぼけた扉は、今の主人を迎え入れる事が出来た。
野良犬は後ろを振り向く。もし後ろに鼠が居るのなら面倒を見ようと。
そして結果は…
「………家?」
勿論、鼠は野良犬の後を着いてきていた。
「ああ、お前の家だ」
こうして野良犬の気まぐれで、ドブ鼠の面倒を見る事になった。
最初のコメントを投稿しよう!