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芥川 要(あくたがわ かなめ)、名前とは違い文学には余り強く無い。 野良犬の名前だ。普段は暴力団の殺し屋をしている。 勿論、彼なりのチンケなプライドを持ってだが。 組から依頼を受けてターゲットを消す。依頼は多い時で月に2回。組からは結構な金が入っているが、住む場所を代えたり、高価な物を買ったりしてはいないため貯金は有る。鼠一匹飼えない筈がない。 昨日の鼠は部屋唯一の布団に包まり寝息を立てている。 (気楽なもんだな…) 出会ってから既に8時間が経過していた。 日は昇り、鶏の泣き声はもう聞こえない。 野良犬…いや、要の腹の具合的に飯を取りたい。 ーーーペチペチ 「おら、起きろ」 鼠の頬っぺたを軽く二度叩き、起こそうとする。 「………ねむい」 片方薄目を空けて、虚ろげに辺りを確認する。 「飯だ」 「………あい」 要の声に、鼠はユックリと布団から抜け出す。 「………おい」 「………あい?」 思わず呼び止めてしまった要。今衝撃的な場面に出くわしてしまった。 「………何で裸なんだ?」 「………服が濡れてたから」 一糸纏わぬ小さい体。白い肌には一切の傷は無く、まるで雪のようだ。金色の長い髪が首から垂れている。 鼠…いや、少女の言う通り濡れている衣類が布団の横に無造作に置かれている。 「………はぁ、コレでも着とけ」 要は木製のタンスから、少女にとっては大きいシャツを取り出し渡した。
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