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ベッドの上できょとんっとすること数秒、俺から目をそらした。
「あー…、朝ご飯作ったから食べようか?」
―コクリ。
目をそらせたまま頷く。
「その前に顔洗わないとなぁ。っし行くぞ春陽。」
先に春陽を洗面所に案内することにした。後ろを少し振り返るとちゃんと後をついて来ていた。
洗面所に着いて気づいたことが一つ…。
(背とどかねぇじゃねぇか!)
ほけーっと洗面台を見上げている春陽を抱き上げようと後ろにまわった。
俺のその様子を不思議そうに見ていたけど抱き上げようと伸ばした手が触れると一変した。
「―!!やっ!」
小さな声で叫ぶとその場に自分の身体を守るかのように抱きうずくまった。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめ…な…さぃ…。」
どんどん小さくなる声。目をぎゅっと閉じて震える姿をただ見つめる。
一体こんな小さな子に何があったのか。触れた手とこの反応である程度は想像できる。
―虐待―。
多分この予想は外れてないと思う。
こんな場合どうすればいいかわからない。どんな言葉をかけるべきか、どんな対応をするべきか。
「春陽。大丈夫だから。」
「―っ。」
やっぱ俺はごちゃごちゃと考えるのが苦手みたいだ。
気がついたら春陽を抱きしめていた。
その瞬間春陽は声にならない悲鳴を上げ息を詰めた。
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