目標その一、会話をする

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「大丈夫。大丈夫だから。」 春陽を落ち着かせるようにゆっくり、優しく言う。 背中をトントントントン叩くとやっと息を吐き出した。 「俺は誰だ?」 春陽の目をじっと見つめる。 「俺はお前に怖い思いをさせるか?」 春陽は首を横に振る。 「大丈夫だ。ちゃんと守ってやるからな。」 「…と…?」 (えっ!?今…。) 「ほん…とに?」 小さくかすれた声だけど今春陽は初めて喋ってくれた。 「ああ。ずっと守ってやるさ!」 春陽の頭をわしゃわしゃと掻き回す。その行動に驚いたのか「ゎっ」と小さく声をあげた。 「まずは顔洗わなきゃな。そんで朝ご飯だ。 ってことで春陽、持ち上げるぞ?」 さっきみたいなことになるといけないから一応一言断ると―コクリ―と頷いてくれた。 顔を洗ってからキッチンへと降り冷めてしまったフレンチトーストを温めなおす。その間にホットミルクを作り春陽の前に出す。 「ミルクは嫌いか?」 首を横に振り否定する。 「温めにしたけど熱いかもしれないから気をつけろよ。」 フレンチトーストを食べやすい大きさに切りながらちらっと見る。 恐る恐る口に運び、一口飲んだ後の春陽の表情はとても嬉しそうだった。目を輝かせてホットミルクをちびちびと飲んでいく。もしかしたら飲んだことないのか? 「味に保障はないけどな。」 ちょっと可愛らしいと思いながらフレンチトーストも出す。 「ぁり…がと…。あきにぃちゃ…。」 俯きながらボソッと言ったがちゃんと聞こえた。 (今、『ありがとう。あきにぃちゃん。』って言ったよな?)
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