さようなら、初めまして。

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「困ったことがあったら何でも言ってね。」 やっぱりいいなおばちゃん。 翠おばちゃんのいいところはちゃんと察してくれるところ。言葉が少なくてもちゃんとわかってくれるし、他のおばちゃんと比べ踏み込まれたくないとこは踏み込んでこない。 「ありがとう。おばちゃん。」 そう言うとおばちゃんは俺の頭にくしゃくしゃにして帰っていった。 どれだけ時間がたっても頭は二人が亡くなったことを理解してくれない。 わかってはいる。けど認識できない。多分変な話しだけど現実を拒否しているのだと思う。 横たわっている姿も今にも起きそうで、朝になれば「おはよう」って言いそう。 火葬が終わって家に着いてからも実感がなく「ただいま」って声が玄関から聞こえてきそう。 「結局は俺が弱いだけじゃん。」 リビングのソファーに寝転がる。制服がしわになっても知るもんか。 中々現実を受け止められないまま葬儀が終わり、周りからは俺が泣かなかったから「強いわね。」「二人とも亡くなったのにちゃんとしてて立派だわ。」とか色々言われたけど結局は現実から逃げてるだけ。泣いてしまうと認めてしまうから、それが怖いから泣けないだけ。 そう。俺は弱い人間だ。
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