さようなら、初めまして。

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ピンポーン。 今の時刻、午後10時過ぎ。 こんな時間に誰だ? 「はい。どちら様?」 モニターには眼鏡をかけスーツをきた三十路前後の男が立っていた。 「私、弁護士の織原と申します。ご両親…森藤夫妻についてお話があります。」 父さんと母さんについて? 「今開けますので少し待って下さい。」 ちょっと怪しい気もしなくはないし何より笑顔が胡散臭い。けどやっぱ知りたい。あの無駄に顔の広い両親だ。弁護士の知り合いがいてもおかしくはない。 自分にそういい気かせて玄関を開けるとさっきの男と小さな男の子がいた。 「夜分遅くにすみません。」 「いえ…。どうぞ上がって下さい。お話伺います。」 「では、お言葉に甘えて失礼します。」 男―織原さんと男の子をリビングまで案内する。男の子は戸惑いながらもソファーに座り織原さんは両親の遺骨に手を合わせていた。 それを見ながらお茶を入れる。いくら胡散臭い笑顔を貼付けていようが一応はお客さんだ。お客さんには一応それなりの礼儀ってものがあるよね。確かオレンジジュースがあったはずだからあの子はそれでいいか。
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