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「弟と言っても君と血縁関係にはありません。何しろ婦人―亜希子さんは子供を産めない身体だったのですから。」
そうだ。母さんは昔から身体が弱く俺を産む時も一か八かの賭けだったって言ってた。
「どういった経緯か詳しくは私も聞かされてはいませんが二人がこの子ー春陽君を引き取ったのは事実で君の弟なのもまた事実です。詳しくはこの書類に。」
少し厚めの書類が入ってると思われる封筒をテーブルの上に置いて立ち上がる。
いつの間にかソファーに丸まって寝てしまっていた。
「では、私は失礼します。」
玄関まで送ろうとしたら良いって言われたけど織原さんの後ろを着いて行く。
「遅くまでお邪魔してしまいすみません。」
「いえ…。」
「これから大変になりますが困った時はいつでも頼ってくださいね。」
俺の頭に手を置きくしゃくしゃとする。
―お前は幸せだな。ガキ―
あれは誰だったろう。そう言って今みたいに頭をくしゃくしゃってされたことを思い出した。
「あの、今度会うときはその胡散臭い笑顔やめて下さい。なんかすごく痛そうに笑うから。」
織原さんは面食らったような顔をしてからニヤリと笑った。
「後悔するなよ。」
それが素なんだ…。思わず閉まったばかりの玄関を見つめたまま立ち尽くしてしまった。
ってか何言ってんの俺!?
父さん、母さん。
これからどうなるのか、どうすれば良いのかさっぱりわかりません。
俺、これから先やっていけるのだろうか…。
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