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5月5日 午前9時40分 地方裁判所 被告人第1控え室
(やれやれ…。 頭の中がマッシロだよ…。)
人生初の弁護まで、あと20分…。
…俺の額を、冷や汗が絶え間なく流れ続けていた…。
…俺の名前は天張 啓(てんぱる はじめ)
何というか…ピッカピカの!新人弁護士である。
バクバクと異常なほど鼓動する心臓の拍動を抑えようと深呼吸をしていると、後ろから誰かが近づいてきた。
「大丈夫かい?」
声の主は俺の先生の雷光一閃(らいこう いっせん)弁護士だった。
「は…はい、大丈夫です…。」
…と言いつつも、実際は全く大丈夫ではなく、むしろ救急車を呼んで欲しいくらい、緊張で呼吸困難な状態だった。
「…初の裁判で殺人事件を扱うんだからね…、
…テンパるのも無理ないよ、テンパ君。」
「…その呼び方、やめて下さい…。」
…『天張』という名字、そして人の百倍はテンパり、天パのため、いつもボサボサの髪型のせいか、俺はこの23年間、ほぼ百パーセントまわりの知り合い達には『テンパ君』と呼ばれてきた。
…色々と納得がいかないけど…。
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