~二章~ 幻想の郷と氷の娘

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ピシッ 見られている。確かに。 目が合っている。 動けない。 ビキビキィ! 嫌な音。何かにヒビが入る音。 「……うっ……あ」 恐い。恐い。恐い。 飛び散る氷の破片。 「うあああああ!!」 恐怖に打ち勝ち、勇気を出して新たな氷で覆おうとして、小さな腕を振りかぶった。 バキィン! 振り降ろすよりも速く、氷を砕いて腕が出てくる。 そのまま腕はチルノの首を掴み、持ち上げる。 「チルノちゃん!!」 親友が叫ぶ。自分の名を。 「アタイは……大丈夫だから……さいきょーだから。 大ちゃんは逃げて……」 そんなことを言われても、その親友は自分を見捨てて逃げられるほど非情ではなかった。 しかし、助けに行くほどの勇気も無かった。
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