0人が本棚に入れています
本棚に追加
炎。
一面の炎。火の海。
元は人々が暮らす集落だったこの地はもはや原型を留めていない。
昨日までの平穏など知らぬかのように、灼熱の焔が躍り狂い、既に命を手放した物言わぬ骸が数えられないほど転がっていた。
言葉として呼ぶなら、戦場。
言葉として呼ぶなら、狂気。
悲鳴。怒号。
慟哭。叫び。
銃声。爆発。
狂兵の笑い声。
声にならない叫び。
確実に、また命が消えた。
勝利と安息を掴もうと、
生きる希望を掴もうと、
地位と名誉を掴もうと。
多くの大きな欲望が渦巻き淀み、意味を答えられない争いは激化していった。
最初のコメントを投稿しよう!