いつか夢見た夢を見る

痴話喧嘩(シンアリ)

走る後ろ姿を見守っていると影からスッと誰かが出てきた。
よいしょ、と立ち上がり立ち去ろうとしたジャーファルを後ろからぎゅ、と抱き締める。

｢…マスルール、誰かに見られたらどうするんですか？｣

含み笑いをしながら首だけで少し振り返るとむくれた顔のマスルールがいた。

｢いいんスよ見られて｣

｢こら。焼きもちですか？｣

図星だと気付いた時ジャーファルは身体が反転し、真正面から抱き締められていた。
そのまま塞がれた。

｢…シンドバッドさん｣

女の子と真っ最中だったら嫌だなと思いながらゆっくり扉を開けた瞬間、身体に衝撃が走った。

｢アリババ君…っ…良かった、もう戻って来ないかと｣

…七海の覇王はこんな弱々しい声を出すだろうか
お互い相当はまっていることを自覚した瞬間アリババは怒りがおさまってしまった。

｢俺はここにいますよ｣

丸く収まった痴話喧嘩はまたしばらくしてから繰り返される。
ジャーファルとマスルールは苦笑いを溢した。