見えない距離

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彼方と私は13年間ずっと同じクラス。 だから下駄箱も一緒なわけで無言のままは結構気まずい。 ふと先に靴箱を開けた彼方が話しかけてきた。 「今日はヤボ用出来たからさっさと帰れよ?」 「ヤボ用?…部活は休みでしょ?」 「ちょっとヤボ用って言ったらヤボ用。だからバスか友達と帰れよ?」 「バス嫌。終わるまで待つ。」 「いいから帰れ、何分かかるかわかんないから」 そう言って彼方は私にデコピンするとさっさと教室に向かってしまった。 ──何よ、アイツ…ヤボ用って私には言えない事なわけ? 「あれは呼び出しでもされたんじゃな~い?」 「うわっ」 いきなり後ろから声を掛けられ私はバッと振り返った。 「おどかさないでよ、美穂…ι」 「アンタとあたしの名簿は前後だからね~」 「話が噛み合ってないんだけど…ι」 「まあ気にしない気にしない」 「気になるから言ったんだけど?」 「それよりさっきの…ラブレターをもらったんじゃない?」 「──は?」 いきなり何を言うかと思えば。 そんなこと有り得ないし。 「その根拠はどこから?」 「最近岸本君って下級生に人気なのよぉ?」 「下級生?彼方を慕う後輩なんて山ほどいるじゃない」 サッカーバカな彼方は後輩に尊敬の眼差しを送られ日々、充実した部活動をしてるらしい。 ──昔から年下の男の子に慕われては調子に乗ってたわね、確か。 「バカ、下級生の女子にも人気があるんだよ?」 「…へぇー」 「うっわ、気のない返事」 「だってそんなの有り得ないもん」
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