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「有り得ないって何でそう思うわけ?」
「だって彼方ってバカだし、女の子に対して口悪いし…あと低血圧だしピーマン嫌いだし?イイトコないじゃない」
「それはアンタが幼馴染みだからわかる事でしょ?…下級生はサッカーやってる所しか知らないからアイドルみたいにされてもおかしくないじゃない」
───なるほど。サッカーやる時だけは真剣な彼方の事だ。遠巻きにカッコいいって勘違いされるのも無理ないかもしれない。
だけど―――
「彼方は告白されても断ると思うよ?‥『悪い…俺、今はサッカーに集中したいから』とかカッコつけて言うに決まってるわ」
「──さっきのがラブレターとは限らないし‥気になるなら確かめてみたら?」
だから彼方に告白する人なんていないって。
13年間もずっと幼馴染みやってる私が断言出来るんだから間違いない。
──気になんかしてないんだから。
「──って…何でこんな事やってんの、私‥」
放課後になって私は明らかに彼方がいつもと様子が違うから後ろから尾行してしまっていた。
──あくまで気になるわけじゃなくて様子がヘンだったから心配してるわけ。
「って言っててもしょうがないや‥何で裏庭にいんのよ‥」
私はそっと植え込みの草陰に隠れて彼方の様子を伺う。
この距離ならたぶん彼方にはバレないはず。
「裏庭で何やる気‥?」
まさか──ホントに後輩の女子に呼び出されたの?
やだな…何かムカムカしてきた。
私をさしおいて彼方が告白されるのがムカつくのかしら?
――たぶん、ね?彼方と私は昔から変な事に張り合ってたから。
だから勝負が始まる前に負けて悔しいんだ。
──そうに決まってる。
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