男前と女王様

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「ん?あれ史樹君?」 「お、悠介か。久しぶり」 名前を呼ばれ読んでいた本から顔を上げたのは中学の時の僕の友達。神宮寺史樹君だった。 史樹君とは三年間同じクラスでしかも委員会も同じという事もあって仲良くさせてもらっていた。 委員会は風紀委員で、武道の名家の彼には幾度となく世話になったし、代わりに勉強に弱いらしい彼に勉強を教えたりなんかしていた。今考えればまさにgive&takeな関係だったわけだ。 「史樹君は…確か七樹高校だったっけ?」 「ああ。悠介は葵美(葵美術学校)だったな」 史樹くんの隣に座っていいかと尋ね、お互いの高校を確認しあいながら僕らは笑いあった。 「相変わらず女王様しているのか?」 「そっちこそ。相変わらず無自覚に誰彼構わず誑してるんですか?」 クスクスと笑いながら問いを問いで返せば心当たりがあるのか彼は苦笑して頬を掻いた。 「まぁな…誑した覚えはないが、また厄介なのにつきまとわれている」 「おやおや。それは大変ですね。僕は快適ですよ。僕に言い寄ってきた奴は皆調教していい飼い犬にしましたし、やっぱりせっかく使える駒や犬がいるなら躾て使わないと。史樹くんもせっかくいいお顔立ちと体をお持ちなんだから駄犬を調教してみたらどうですか?」 苦笑いを浮かべながらそう返してきた相手にアドバイスをしてやるも史樹くんはいや遠慮する、と首を横に振った。 まぁ確かに優しすぎる彼には駄犬を躾るのは多分無理だろう。 .
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