征するのは

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そう返せば流石師匠、とか言いかけて奴は固まった。 そしてそのままジッと俺を見つめる。 …なんだよ早く出ていけ。 「…なぁ、師匠。俺ここにいちゃダ」 「ダメだな」 「っ、なんで!俺絶対師匠に負けねぇくらいすげぇ情報屋になるから!師匠の邪魔なんかしねぇし足ひっぱらねぇようにするから!だから、なぁ、師匠、俺をここにおいてくれよ!」 あ~ぁ興奮しちゃってまぁ。 真っ赤になって叫ぶコヨーテを俺は若干冷めた目で見据えながら幾度となく繰り返してきたこの茶番に頭を抱え、溜め息混じりに口を開いた。 「コヨーテ。お前、俺の弟子になるとき俺と約束したよな?全ての情報を統べる俺は2年以上他人と過ごせねぇって」 「だけど!俺師匠が好きなんだ!俺、世界…いやこの世に存在するどんな情報や人物より師匠の事が好き…」 「ああもうお前もか。そこから先は言うな。聞き飽きた」 はぁ…、と俺は先程よりわざとらしく失意をのせた溜め息を吐く。 なんで俺の弟子は揃いも揃って皆伝と同時に俺に告白しやがんだ。 一番目の弟子は俺の情報に手を出しやがったからちょっと脅すつもりで俺の居場所をバラし顔を合わせたら懐かれてそのまま弟子に。 二番目の弟子は一番目の弟子の後、清掃業者になりすまし俺の寝込みを襲ってきたスパイだったので迎撃してやったら何故か弟子入りしたいと言ってきたから面白半分でOKした。 三番目の弟子は一番と二番を皆伝し追い出した後にやってきた。…つか俺の縄張り周辺で迷子になってたから仕方なく引き入れ弟子にして放った。 で、コヨーテなわけだが。俺に挑戦だかなんだかと一方的に俺の子ども達に傷つけやがったから俺直々に説教たれてやったら俺の弟子になりたいと言ってきた。で、弟子にしてやったわけだが。 「なっ…もってなんだよ!」 「も、はもだ。タイガーもハイエナもクロヒョウも、つまりはお前の兄弟子みぃんなっつーことだ」 .
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