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「やっぱり…!アイツら師匠を狙ってやがったのか!」
わなわなわな。
俺がコヨーテに教えてやるとコヨーテは途端に低い声をだし、キッと悔しそうに目をつり上げた。
はぁ…こうなったら仕方ねぇ。いつものやるか。
その姿を見た俺は渋々今まで動かしていた手を止めるとコヨーテに向き合った。
「コヨーテ。お前は情報屋として頂点になると前にいた奴がどうなるか知っているか?」
突然の問いにコヨーテは頭が働かないのか面食らったような顔をして俺を真っ直ぐに見つめた。
「情報を統べる者はその存在を他に知られてはならない。それは情報はイコール世界の真理であり危険なものだからだ。」
情報を統べ常にそれを把握しているということ。それは常に命を狙われ危険に晒される事に他ならない。
だから俺は弟子に名前を教えてやらない。
俺は世界に認識されないように生きているし、される気も干渉する気もない。
ただ、誰かが俺を必要とする時だけそれを情報の中から見つけ手助けまたは助言したりする。
それだけだ。
「流石に検討も付かないか。なら教えてやるからよく聞いとけ。聞き漏らしたら今後俺がお前に関わる事は二度とないと思え。全てを統べる者が代代わりする時、それは…前任者を消す事だ」
流石にコヨーテも空気を読んだのか目を見開き黙りこむ。うん。いい感じだ。
「…まぁ消すといってもなにも殺すという選択肢だけじゃない。要は前任者の存在を完全に自分以外知らないようにすればいい」
そう。俺は現に前任者を殺してなんかいない。
殺さずにその存在を外に漏らさない方法…それはつまり
「前任者を監禁するという方法もある。そうすれば情報は漏れないし頂点に立ち続けられるからな」
「かん、きん…?師匠を…?」
コヨーテは俺の言葉を繰り返し目を瞬く。
コヨーテはバカで単純だからちょっと刺激が強すぎたかもしれない。
仕方なく俺はコヨーテの停止した思考にもわかるように優しく教えてやった。
どうせコイツも次いつ会えるかはわからないからな。サービスしてやろう。
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