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「あら、日向君。遅かったじゃない。
もっと早く来れなかったの?」
「無茶言うなよ! 突然柴田も連れて来い、なんて要求されたせいで余分に一往復してるんだぞ!」
「まあいいわ。
日向君の相手をするのも面倒だし、早速今日の本題についてなんだけど……」
本部に入ってすぐに、こんな話が始まった。
ゆりは本当に容赦ないような気がするぞ……。
「前から言ってたように、今日は死んでたまるか戦線に代わる新しい名前を決めるわ」
「また……ですか」
「もういいんじゃない? 結局また変える、とか言い出すんだろうし」
「うるさいわよ、高松君、大山君」
ゆりの発言に意見したメガネをかけた細身の男子と、中世的な顔立ちの背の低い男子が黙り込んでしまった。
「それじゃあ反対意見もなさそうだし、決めちゃいましょう。
それじゃあ候補を……」
「いや思いっきり反対意見があっただろ」
「うるさいわね。
今は特に文句も言ってないじゃない」
思ったことが口に出てしまっていたようだ。
そのせいでゆりから睨まれてしまっている。
いや、というか、部屋にいる全員から見られてないか?
「おい、ゆりっぺ。
さっきから気になってたんだが、そいつは一体誰だ?」
いかにも悪そうな雰囲気をまとっている男子がゆりにそう尋ねる。
そういえばここにいる中で俺のことを知ってるのは、ゆりと日向だけなのか……いや、岩沢もいた。
「彼は柴田君よ。
これからは仲間になるから、色々教えてあげるように」
簡単な紹介をされたが、まだ皆の視線はこっちに向いている。
俺自身については名前しかわかっていない以上ほかに言うこともないし、これからどうしていいのか分からないぞ……。
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