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松下五段と呼ばれた男子が飛ばされていった生徒を連れて戻って来てから三十分ほどが経つと、ほとんど人の形をしていなかった生徒がすっかり元通りになっていた。
「本当に死なないんだな。
……これはこれで恐ろしいけど」
どんな怪我を負っても治る、というのは嬉しいが、その過程を見てしまうとそのような状況にはなりたくないと思ってしまう。
「あれ? そういえばこいつって、昨日天使にやられてたやつじゃないか?」
どこかで見たことがある気がすると思っていたが、確かに同じ生徒の気がする。
昨日は暗い所で遠目に顔を見ただけだから自信はないが……。
「そうみたいね。
安全な場所を探してたのかしら?」
「それであんな目にあってたら可哀そすぎるよな」
「……浅はかなり」
日向がゆりの発言に反応した後、特に注意を向けていなかった部屋の隅から突然声が聞えてきた。
誰かいるのかと目をやると、そこには長髪で襟巻をつけた女子がいた。
「うわ、そんなところにも人がいたのか……全然気付かなかったから驚いた」
「浅はかなり」
「さて、じゃあ落ち着いたところで、本来の目的を果たしましょう」
長髪の女子に驚いていると、ゆりがそう言った。
ああ、たしか戦線の名前だよな……いったいどんな名前がいいんだろうか。
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