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「消えたい? 今ここに存在しているのにですか?」
生徒に対し、高松というメガネをかけた男が尋ねる。
「ああ、そうだよ!」
「その説明はしたわ」
「抗いもせず消されることを望むと?」
「ああ!」
「抗いもせずミジンコになると?」
「ああ!
……あ? ミジンコ?!」
突然のよくわからない質問に、生徒が固まる。
「へっ、魂が人間だけに宿るもんだとでも思ってたのかよ、てめぇ」
「浅はかなり」
「次はフジツボかもしれん。ヤドカリかもしれん。フナムシであるかもしれん」
「はぁ? そんなまさか……」
「なぜ浜辺に集中しているのかと突っ込む余裕もなさそうな顔ですね。ちなみに意味なんてありません」
「ほうら、とっととここから出て行けよ。天使の言いなりになって、無事成仏するんだろ?
フジツボにでもなって、人間に食われでもするんだな。
幸せな来世じゃないか」
「……フジツボ」
完全にSSSの勢いにのまれた生徒が、何かを考えているのか口を閉じた。
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