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皆の紹介が終わってからは解散となり、日が沈んだころに再び本部へ来るように言われた。
「っていっても、やることがあるわけでもないし暇なんだよなぁ……」
今のおれは何をするわけでもなく、校舎の周りを歩き回っているだけだ。
「何か趣味でも見つけないと暇で仕方なさそうだな。
例えば……そう、音楽とか」
昨日聴かせてもらったガルデモの演奏を思い出す。
「よし。今度、少し教えてもらおうかな……」
「教えてもらうって、何を?」
「ああ、暇つぶしに楽器でも始めようかと思ってさ……って、誰だ?!」
突然話しかけられたことに驚いて勢いよく振り向くと、そこにはガルデモの一員である関根がいた。
「へぇ、柴田君、音楽に興味あるんだ」
「ああ。何の記憶もない状態であれだけの演奏を聴かされたら、どうやっても心に残るだろ。
だから、何か暇つぶしにやろうと思ってたら真っ先に思い浮かんだんだ」
「そう言ってもらえるとうれしいなぁ。
あれ? ってことは、私たちに教えてもらいたいってこと?」
「ああ、そうなるな」
「ってなると、岩沢さんかひさ子さんかなぁ。
もしドラムをやりたいんだったらみゆきちで決定なんだけど……」
「その選択肢に関根は入ってないのか?」
「え? いや、だって私はまだ全然下手だし、皆に迷惑かけちゃってるくらいだし……ギターをやりたいんなら岩沢さんたちに聞いた方が上達できるって」
俺の言葉に驚いたような反応を見せる関根。
「関根だって初心者の俺と比べたら相当うまいだろ?
だったら問題ないじゃないか」
「た、確かにそうなんだけど……」
「ま、関根がダメだって言うならほかにあたってみるさ。
もし気が向いたら、少しでいいから教えてくれよな」
「あ、うん」
「それじゃあ、またな」
「……あ、そうだ。ちょっと待って!」
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