オペレーション・トルネード

16/26
前へ
/66ページ
次へ
話を終えて立ち去ろうとした時、関根に呼びとめられた。 「実を言うと今、ちょっと暇なんだよね。 だから私の暇つぶしってことで、柴田君さえいいなら少しギターについて教えるよ」 「ホントか? ありがとう、助かるよ! 今から夕方まで一切やることがなくて、どうしようか本気で迷ってたんだよなぁ」 「よかった、じゃあギター取ってくるから、ここで待っててね!」 そう言いながら元気よく駆けていく関根を眺める。 「それにしても、なんで突然心変わりしたんだ?」 明らかに乗り気ではなかったにもかかわらず、急に引き受けてくれた。 それは嬉しいんだが、どことなく不安になってしまう。 「やっぱり裏があったか……」 関根に二時間ほどギターの弾き方を教えてもらった後で、俺の勘が当たっていたことを思い知らされた。 「ほら、まだ全然残ってるんだからちゃんと食べてよね、柴田君」 俺たちは今、食堂に来ている。 そして目の前には、この食堂のメニューの一つが置かれている。 そう、バカみたいなサイズのパフェが目の前に陣取っているのだ。 「なんでこんなのを頼んだんだ?」 「せっかくのおごりなら、普段は絶対に食べられないものを食べたくなるじゃん」 関根は二時間の講習に対する報酬として、食堂で一品おごることを要求してきたのだ。 それくらいなら安いものだと、深く考えもせずに承諾したのが間違いだった。 関根は容赦なく、キロ単位のパフェを頼んだのだ。 味は確実にいいのだが、それでもこの量はキツイ。 「……何人かで一緒に食べればよかっただろ? ガルデモのメンバーとかさ」 「でも、岩沢さんたちはこういう食べ物にあんまり関心がなさそうだし、みゆきちは少食だから戦力外だしさ」
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加