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「唐突だけど……あなた、入隊してくれないかしら?」
本当に、唐突に告げられる言葉。
「入隊、ってどこにだ?」
「ここにいるってことは、あなた、死んだのよ」
「何言ってるんだ? おれはこうして……」
俺の言葉を半ば無視して、女の子は話を続ける。
「ここは死んだ後の世界。何もしなければ消されるわよ」
「何に消されるって言うんだ?」
「そりゃあ、神様でしょうね」
「それと入隊って言葉にどんな関係が?」
「死んでたまるか戦線。まあ部隊名はよく変わるわ。
最初は死んだ世界戦線。でも、死んだ世界戦線って死んだことを認めることになるんじゃね? ってことで破棄。以降変遷を続けてるわ。
今は死んでたまるか戦線。その前は……」
女の子は次々とよくわからない名前を挙げていく。
「その戦線っていうのは何をしてるんだ?」
「抗っているの」
「一体何に?」
「神に、よ」
「神? そんなものがいるのか?」
「まだ見たことはないわ。ただし、その手がかりならいる。あそこにね」
そう言って女の子が、銃を向けていた先を顎で示す。
一体どんな化け物がいるのかと怯えながらも、立ち上がって覗いてみる。
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