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「おーい、ゆりっぺ! こっちに倒れてるやつがいたから連れてきた……って、ここにもいたのか?」
やって来たのは、一人の男を担いだ男。
声をかけてきた男は、俺を見ながら担いでいた男を下ろし始めた。
その様子を見る限りでは、担がれていた方は意識を失っているのだろう。
「まあいい、勧誘は任せたぞ。俺はもう一回向こうを見てくる」
男はそう言いながらやって来た方向へと戻って行った。
担がれてきた方の男を見てみると、少し瞼が動いていた。
「どうやらちょうどいいタイミングで目が覚めてくれるみたいね」
俺と同じく倒れている男を見ていた女の子は、そう言う。
そしてその直後、本当に男が目を開いた。
「っっっ……ここは……どこだ?」
そう呟きながら辺りを見回す男。
「何も思い出せない……」
少し間をおいてから、女の子はその男に声をかけた。
「目が覚めた?」
突然かけられた声に対して驚いたのか、男は飛び起きる。
「あんた……」
「ようこそ、死んでたまるか戦線へ」
そして笑顔でそう告げた。
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