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「皆、お待たせ……って、全然いないじゃないの!」
俺が連れて来られた部屋の扉を開けた後、ゆりがそう叫ぶ。
「……ってか、なんで校長室に来てるんだ?」
「ここが俺たちの本部だからだよ。ほらほら、入れって」
日向に勧められるままに校長室へと足を踏み入れる。
その先には入ったばかりのゆりのほかに、もう一人の女の子がいた。
「こ、こんばんは」
「あ、ああ。こんばんは」
怯えた様子で挨拶をしてきた女の子と、それと同じような調子で答える俺。
そんな様子を無視するようにゆりが口を開く。
「どうして皆いないのよ?」
「多分お昼に、今夜はガルデモと打ち合わせだから邪魔するな、って言ってたからじゃないですか?」
ゆりの疑問に、女の子はそう答えた。
また新しい名前が出てきた。
死んでたまるか戦線等の戦線の名前に始まり、一体いくつの言葉を覚えればいいのだろうか?
俺の心配など気づかれず、再びゆりが声を発した。
「じゃあ肝心のガルデモはどうしたの? 見たところ、あなた一人みたいだけど……」
「あはは……しおりんのいつもの悪い癖が出ちゃって。
さすがにひさ子さんも我慢の限界だったみたいで、性根を叩き直してやる、とか言ってました」
「それであなたに報告を頼んだ、っていうことね」
「理解が早くて助かります」
女の子は申し訳なさそうに頭を下げる。
「ところで、そこの彼は……」
話が一段落ついたところで、女の子が俺を見てそう尋ねてきた。
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