SSS

9/17
前へ
/66ページ
次へ
「皆、お待たせ……って、全然いないじゃないの!」 俺が連れて来られた部屋の扉を開けた後、ゆりがそう叫ぶ。 「……ってか、なんで校長室に来てるんだ?」 「ここが俺たちの本部だからだよ。ほらほら、入れって」 日向に勧められるままに校長室へと足を踏み入れる。 その先には入ったばかりのゆりのほかに、もう一人の女の子がいた。 「こ、こんばんは」 「あ、ああ。こんばんは」 怯えた様子で挨拶をしてきた女の子と、それと同じような調子で答える俺。 そんな様子を無視するようにゆりが口を開く。 「どうして皆いないのよ?」 「多分お昼に、今夜はガルデモと打ち合わせだから邪魔するな、って言ってたからじゃないですか?」 ゆりの疑問に、女の子はそう答えた。 また新しい名前が出てきた。 死んでたまるか戦線等の戦線の名前に始まり、一体いくつの言葉を覚えればいいのだろうか? 俺の心配など気づかれず、再びゆりが声を発した。 「じゃあ肝心のガルデモはどうしたの? 見たところ、あなた一人みたいだけど……」 「あはは……しおりんのいつもの悪い癖が出ちゃって。 さすがにひさ子さんも我慢の限界だったみたいで、性根を叩き直してやる、とか言ってました」 「それであなたに報告を頼んだ、っていうことね」 「理解が早くて助かります」 女の子は申し訳なさそうに頭を下げる。 「ところで、そこの彼は……」 話が一段落ついたところで、女の子が俺を見てそう尋ねてきた。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加