春に訪れ

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ベッド近くの椅子に座る。 しかし、いざ話すとなったら俺も何も出て来ない。 「………。」 でもこのままの沈黙は時間の無駄だな。 俺から切り出した方が良いのか。 「なぁ「あの!」」 目が合い、言葉に詰まり 互いにそっぽを向く。 俺は病室の窓をとっさに見た。 沈みかけた夕日が街を照らし こんなに綺麗に橙の光を演出している。 (本来ならこんなことどうでも良いが早く帰りたいし……) 「……夕日、きれいだな。」 「うん、そうだね。」 俺は都島を見ずに窓の風景を眺めながら話す。 「……いつも、この夕日見てるのか。」 「うん。」 「……。」 (慣れない話って続かないな。) 「……特等席だな。」 「え?」 「……だって、こんな夕日毎日見れるんだろ。」 「……、そ、そうだね。」 (何か間違えたか?……) 沈黙は時を刻々と進める。
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