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「はぁはぁはぁ」
翔は軽やかなステップで気持ち良さそうにゆっくりと走っていた。
「しょ~う、はぁはぁはぁ。待ってよ、はぁはぁはぁ」
後ろにはるり子が歩くように走っている。
るり子は、勉強はすごくよくできるんだけど、体育のマラソンとかは、今のように走っているのか、歩いているのか(本人は一生懸命走っているみたいだ)わからない状態になる。
つまり体育だけはるり子の苦手科目だ。
気がつくと俺の制服をきた生徒たちが次々と学校へと向かっていた。
ここまで来れば学校に間に合うだろう。
俺は走るスピードどんどんと落としていく。
「るり子、もう学校の近くまで来たから歩こうか」
声が聞こえなかったのか、顔は地面の下を向きながら今にも倒れそうに息を苦しそうに吐いていた。
俺はるり子に近づいた。
「るり子、学校が近いから歩くぞ」
「え❗あ、うん、ハァハァハァハァ、ハァハァハァハァ、」
「運動不足」
「あう~」
とはいえ、るり子の脚力はさんざん見ているからわかるが、るり子にはこの距離は辛かったか。
「よくがんばったな」
るり子の頭に手をやり、頭をなでる。
「えへへ」
気持ちよさそうにされるがままになっている。まるで子犬みたいだ。
「朝っぱらから見せつけてくれるぜ」
振り向くと七、三の髪と爽やかな顔だち、ちょうどいい筋肉の仕上がり。
同じクラスメートの大川隆司。るり子と同じ幼なじみだ。
「なんかるり子朝っぱらから疲れているみたいだな。どうせ翔が寝坊して遅刻しそうになって走らされたんだろう」
「そうそう。それでるり子ね、一生懸命走ったんだけど、おまけに走る最初のとこはるり子が勝っていたんだけど、あっという間に追い越しちゃうの。それで何度何度走っても追いつけないの。あともうちょっとだったのに~」
あともうちょっとどころか、結構離されていたけどな
「ねぇ、隆司、ひどいと思わない?」
るり子は隆司のことをうるうるとした目で見つめた。
なんか俺が悪者になっているような気がするんですが気のせいかな?
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