プロローグ

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―8月のオープンスクール 私は、一瞬で恋に落ちた。 「~~っ…どうしよう…」 中3の夏休み。 私は公立藤ノ原高校のオープンスクールに来ていた。 そして、見事に迷っていた。 「…ここどこ…?早くしないと体験授業始まるのに…」 見渡す限り教室。 長い廊下の真ん中に、私はたたずんでいた。 10時から、体験授業が始まる。 現在、9時50分。 生徒を頼ろうとしても、今日は日曜日。誰もいない。 「やばいよ…」 私が座り込んでしまったとき、誰かの足音が聞こえた。 キュッキュッと靴底と床が擦れる音が、段々大きくなっていく。 一体、誰なの――? 「――――」 歩いてきたのは、男子生徒だった。 私は、思わず彼にときめいてしまった。 堂々とした歩き姿、整った髪、凛々しい眉―― 全てが完璧な彼に、 私は、一目惚れをした。
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