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鏡に映ってる自分が僕の顔を見て笑うんだ。
「兄貴は昔から進歩してねぇよな」
五月蝿い。ウルサイ。うるさい。
鏡を殴ると、一瞬高い音が響いて。
少ししてから、血が滲んで来た
血は手から滑って床に滴り落ちて、
さっき割れた硝子の破片は床に突き刺さって、そのまま。
割れた硝子の奥にいる、その口を黙らせるには、こうするしか、無かったの?
本当の自分を知るのが怖くて。
いつも、いつも、過去の自分に囚われて。
そんな自分に─
「サヨナラ、したかったんだろ?」
鏡の外の僕が、不気味に微笑んで、僕の、胸を、刺した。
鏡の中の僕は、只ただその綺麗な躰を、見つめる事しか出来なくて。
end.
(朽ち逝く躰にサヨナラを告げる)
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