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「翔お兄ちゃん!」
一人のまだ少年と呼ぶには早すぎる程の小さな男の子が、高校生ぐらいの少年を呼び止めた。
「葎?」
涙を大きな瞳に浮かべた男の子を少年は振り替える。
「どうしても…行っちゃうの…?」
男の子の言葉に苦笑した少年は、男の子の側へと寄り膝をついて視線を合わせる。
「葎、お兄ちゃんは行かなきゃいけないんだ」
目を潤ませたまま男の子は少年の服の袖を弱く握る。
「また………」
「ん?」
「…また…会える?」
男の子の言葉に少年は少し驚き、すぐに満面の笑みを浮かべた。
「必ず、葎に会いに来るよ」
「………ホント?」
男の子の不安そうな瞳に少年は優しい笑みを浮かべた。
「絶対だ。約束するよ」
少年は優しい笑みのまま男の子の頭を撫でた。
男の子はコクリと頷いて、今日初めての愛らしい笑みを浮かべた。
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