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俺達は幼い頃から一緒だった。
俺とアイツと彼女。
(彼女と言っても付き合っているわけではない)
家が近所、親が友達。
となると一緒に遊ぶことは当然だった。
幼稚園、小・中・高と同じで、どこに行くにも三人で動いた。
勉強、喧嘩、旅行、恋。
喜怒哀楽の全てを感じ取り、
どんな事でさえ共有し、
心の深い場所で繋がっていた。
誰よりも強い絆で結ばれていた。
いつまでもこのまま、
この三人のまま、
友として、家族として、永遠に共にあると思っていた。
そう信じていた。
……この関係が崩れるなど、
微塵も考えていなかった。
だが突然にその瞬間は訪れた。
22歳の夏、
アイツが死んだ。
買い物の帰りの交通事故。
原因は運転手の飲酒運転。
自殺でも殺人でもない。
誰がどう見ても、完璧な事故。
けれどアイツは俺が殺した。
……殺したも同然だ。
俺がアイツを買い物に行かせた。
「アイス買って来て」
その一言で。
アイツはそれを快諾した。
気のいい奴だ。
頭が良くて、臨機応変な上に、人を誰よりも思いやれる心を持った奴だった。
葬式で見た、アイツの家族の、悲しみに沈んだ顔。
その顔を見る度、
俺が行けば良かった…。
俺が、代わりに……。
何度も何度も、そう思った。
悲しみと罪悪感に苛まれる俺を、彼女はいつも励ましてくれた。
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