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――ようやく此処まで来た。
城下町は戦いの兆しを伝え聞いた者達の喧騒で賑やかだ。
その中で青年は右腕とも言える立派な髭の老人に向けてそう言った。
二人は権力のみが蔓延る国を象徴する、閉ざされた城門を見上げ、右手に力を込めつつ言う。
「正しき者が正しく生きられる未来を」
そして二人は銃口を城門に向ける。
既に潜入は済んでいる。
兵の配置や撹乱の用意も終わっている。
青年は勝利への道筋を思い描いていた。
二人に挙動に気付き始めた衛兵が動く。
だがもう遅い。
参謀である老人の戦略と、
名声を求める者、
恨みにより闘う者、
純粋に改革を求める者、
目的は違えど目標を同じくする者達の歩みにより、幾つもの砦を落としてきた革命軍は止められない。
二人の銃口から同時に破裂音が広がる。
それが開戦の合図だった。
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