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潜入していた仲間が城門を開き、そこへ町中に潜んでいた兵士達が雪崩れ込む。
城門をくぐると、心の安寧を手に入れる為の噴水や植木がある、塀に囲まれた中庭が存在した。
塀の上から数人の衛兵が弓を構えるが、矢を放つ間もなく足場が爆破され、衛兵の姿が消える。
爆音が轟く中、城内から無数の衛兵達が飛び出して来た。
両軍は爆音を超える雄叫びを上げ、中庭の中央でぶつかる。
一瞬で広々とした中庭が兵士で埋め尽くされ、血の匂いが蔓延する。
戦いの合間をすり抜け、兵士と参謀を引き連れて城内へと侵入する青年。
直後に迎え撃たれるが参謀の眼と青年の腕で衛兵達の陣形を切り崩し、侵攻していく。
立派な髭の参謀の言うことはいつも正しかった。
貧困街で青年と参謀により蜂起した革命軍。
始めは十数人だった。
勝利を重ねる度に軍に志願する者が現れ、後に千人単位の規模にまで膨れ上がった。
そして今、この国に圧政を敷く王の元に辿り着こうとしている。
しかし、玉座の間までの道筋の最中、仲間は倒れ、辿り着いた時には青年と参謀の二人だけになっていた。
だが青年は扉に手を掛けた。
幾ら近衛兵が居ようとも、必ず王を討つと心に決めて、その扉を開いた。
そして青年が見た光景は誰も居ない玉座の間だった。
参謀が扉を閉め、青年は、
美しくも寂しげな空間へと進みゆく。
近衛兵どころか王すら居ない。
逃げ出したのか?
あれだけの兵を残し、王が王城を離れるのか?
「逃げ出してはいない」
其処には声を響かせ玉座へ近付く、
立派な髭の老人の姿があった。
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