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革命を心に決め、歩み出した時から伴い続けてきた参謀が、目標としてきた最大の敵だということに青年は動揺を隠しきれなかった。
――何の為だ。
絡み合う思考の中から飛び出して来たのは純粋な疑問だった。
「革命軍を起こした理由か?
そのままだ。革命を求めていた。この国を変革出来る者を探していた」
王がそれを求めるのか。
だが今まで参謀は革命軍を勝利に導いてきた。その力があるなら何故この国を導いてこれなかったのか。
「国というものは革命軍をも遥かにこえる人間の組織だ。その中では意見は対立し、混迷化する。大きな目標でもない限り、腐敗する」
王自身に責任が無いかのように、青年にはその言葉が聞こえた。
「そして実際に、この国は腐敗した。革命を起こそうにも宰相、騎士団長以下、権力者が力を持ち過ぎた。宰相が圧政を敷いているのも、元は私の責任だ。だから私は全てを清算する為に革命軍を導き、お前達なら変革出来ることを悟った。此処まで来たお前になら、国を任せられる。
……さぁ、この革命を終わらせよう」
――それこそ無責任だ。
人に国を任せ、自分は逃げるなど。それならば……
共に歩めないのか。
革命を終わらせるということ事は王の首を取る事だ。
本当にその選択しか出来ないのか。
「革命とは血を必要とするものだ。でなければ革命は終わらない。そして、私達の目指す未来を思い出せ」
青年は心を決め、王に銃を向け、
最期に二人は想いと声を重ね合わせる。
「正しき者が正しく生きられる未来を」
二人の瞳孔と銃口が並んだ時、革命の弾は放たれた。
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