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「あゆも変わってるよなー。お前みたいな奴に惚れて。なんか買ってあげてんのか?」
「ピアスくらいは」
「・・・・それだけ?」
「去年の秋。誕生日プレゼントに」
「普段は?」
「別に、なにも・・・」
「冷たいなぁ、お前も」
「うるさいな」
プレゼントは祝福される日に送れば十分だろう。それでいて交際1ヶ月記念、7ヶ月記念とか、そんなのでプレゼントするのは勿論1ヶ月ごとに記念日とかもおかしい。月命日みたいだと周りのカップルの話を聞くたび思う。
まあ、愛結美はとくにそういう事がないからいいのだが。
「ちょっとは買ってやれよー。夏休みはカップル満喫バケーションだぜ?」
「祭りのときくらいは、奢るよ。さすがに」
───しかし。
やはり、僕にはぴんと来ない。高校生として田舎の島にいる不便さ、便利な都会について、高校生として良き友人やカノジョがいる幸せ───それをなんとも思えない。わかりやすく言うと、どうでもいいという投げ遣りな感情だろうか。進路にしたって、同じかもしれない。
・・・無気力なだけか。17歳にもなれば、自分で決めなければいけないことが腐るほどあるのに。
「・・・・はあ」
「あ、なんだよそのため息!ナツ、俺の話聞いてた?」
「悪い。聞いてない」
「んのやろーっ」
孝明はふざけたようにポカポカ叩く。
───些細な幸せさえ、どうでもよく感じてしまう。
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