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【四月二十五日:?周目】
――終わった。
最早身体は痛みを感じず、感覚すらない。
命を失う寸前。薄れる視界の中、僕が見たのは走馬灯ではなく、横たわる五人の大切な人達だった。
結局、彼女達を救えなかった。あれだけ大それたことを言ったのに。
……結果は惨敗。歯が立たなかった。
やっぱり間違っていたのかな。普通の高校生が運命に抗うなんて。
僕は彼女達を殺すしかないのか……?
「あなたはまた世界を救えなかった」
疑問と後悔が渦巻く中、僕の耳に女性の声が届く。
……もう考えても遅い。救う対象も手立ても全て奪われてしまった今は。
「フフ、今度はここに辿り着くまで何回かかるかしら」
ああ、理不尽だ。殺すことができて、救うことができないなんて。
僕は……弱い。
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