一章:目覚め

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           人はいない。ホームルームが始まったので、ざわめきもない。    静かになった校舎の側面で、僕はクロに尋ねた。   「夢の住人って何のこと?」    まずは意味のわからない単語について尋ねることにした。    クロは迷う様子もなくそれに頷く。答えてくれるようだ。   「夢の住人とは、夢の世界に住む人のことです。主に人の夢を見守っています」    まずこの時点でわからない。とりあえず、夢の住人については意味が理解できたけど、夢の世界って何だろう?    説明を聞き、更に疑問が湧いてくるのではきりがない。   「うーん。とりあえず、全部説明してくれない? まったく意味がわからなくて」   「あ、そうですね。そうでした。記憶がないんですよね」    何かに気づいたようでクロは頻りに一人で頷く。    記憶? はて、なんのことやら。   「わかりました。では説明をしましょう。基礎から全部」    首を傾げていると、クロが胸を張って宣言した。   「早速いきますよ」    彼女はそう言うとスッと手を伸ばし、僕の額に触れた。    冷たい彼女の体温を感じ、僕は自然と目を閉じる。   「あ……れ?」    ――すると何故だろう。急に耐え難い眠気が襲ってきた。    立つこともできないほどの眠気に、僕は身体が傾くのを感じ……   「夢の世界でお待ちしています」    クロの声を最後に聞いて、意識を失った。  
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