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「えーっと…じゃぁ…その席で」
(はぃ来たーー!!って…えっ…?)
ムダが指差したのは太陽と真逆の席。
一番後ろの端の席はよく見れば反対の生徒の隣も空いていた。
(まぁ、そう上手くいかないか)
その子が席に着くとすぐにまわりのみんなが質問をしながら楽しそうに話している。
それを眺めている太陽にとって羨ましい光景にしか見えなかったその絵にも、今の太陽には同じクラスになれた奇跡にただただ笑みを浮かべるしかなかった。
ホームルームが終わって
一時間目も
二時間目も
三時間目も
放課後までずっとその子が気になってしょうがなかった。
だけど結局最後まで話す機会はなく、午後練習があるので体育館に向かおうとしていた。
「あのー…」
一瞬後ろで聞こえたその声は誰に話かけているか分からなかったから無視して歩いた。
「あのー!山上…さん!」
ギクっ!!
あの娘の声だとそこで気づく。
振り返るとそこには気まずそうに少しうつむいたまま立っている彼女がいた。
「な…何?」
(噛むなオレ!平常心!)
「あのー女バスって午後練習はあるんですか?」
「あぁ。あるよ!ひょっとして入部希望?」
「はい!前の高校でもやってたんでとりあえず見学してみようかなーと思って」
「なら、るなっていう子がいるから連れてってもらうといいよ!」
るなを呼ぼうとまわりを見たけどもう教室にるなの姿はなかった。
「あーもう行ったみたいだな;じゃーオレも体育館行くから一緒に行く?」
(自分でもよく言えたな、こんな台詞;)
「はい、お願いします!」
そして二人は体育館に向かった。
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