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一瞬止まった時間がまた動き出し彼女はこちらに向かい歩いてくる。
その一歩一歩と徐々に大きくなる自分の鼓動が比例していることに太陽はすぐに気づいた。
女の子が二人の前に立ち止まるとすぐにお辞儀して謝った。
「すみません!私知らなくて!!すぐに出ますから!」
おそらく仁の外見に怯えたのだろう。
顔こそイケメンの仁だがはたからみたらヤンキーにしか見えなかった。
「別に朝練やんのはえらいことだし、謝らなくていーよ。ただ、決まりは決まりだからさ」
そう仁が言うとその女の子はペコペコと最後までお辞儀をしながら体育館を出て行った。
結局太陽はなんも話せなかった。
誰とでも話せる仁の性格をうらやましく感じていた。
(それにしてもかわいかったな~)
「おぃ太陽!」
いきなり仁が大声を出したからびっくりした。
「お前あの子に惚れたろ。」
!!!!!
その言葉にさらに驚く。
「はぁ?全然ないから」
(めっちゃあります。)
「あれー。付き合い長い経験から言うと、さっきの太陽の顔は一目惚れの顔してたんだけど」
「あてにならないなーお前の経験論は」
(大当りです仁さん!)
「いいから早く練習しようぜ」
ごまかすようにせかしながら仁に無理矢理ボールを渡し、二人の朝練は始まった。
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